さくらの基礎知識

サクラの分布

ヒマラヤザクラ サクラは主として北半球の温帯に広く分布していますが、美しい花の咲く種類はアジアに多く、しかも日本列島が中心で、多くの種類が集中しています。また、中国や朝鮮半島にもかなりの種類があり、日本と共通の種類もあります。その他、中国の奥地やヒマラヤ地方などには、日本のものと種類は異なりますが、ヒマラヤ桜のように美しい花の咲く種類が分布しています。ヨ-ロッパには、日本の桜のように花の美しい種類はなく、サクランボ、いわゆるミザクラの類があります。北米大陸には、我が国にもあるウワミズザクラに近いような種類や、常緑の種類などはありますが、これらは、日本人の持っている桜の概念からかけ離れた種類ばかりです。

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サクラの分類

サクラは植物学上、バラ科、サクラ亜科、サクラ属の落葉高木または低木の樹木です。サクラ属はサクラ、ウワミズザクラ、スモモ、モモ、ウメ、ニワウメの6亜属に分けられます。一般にサクラとして鑑賞されている花の美しいものは、サクラ亜属に含まれているものです。
 日本にはヤマザクラ、オオシマザクラなど9種を基本にして、変種をあわせると100以上のサクラが自生しており、沖縄には野生化した(といわれるカンヒザクラ)があります。また、これらから育成された園芸品種は200以上もあります。

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サクラの種類

我が国の山野に自生する野生種の基本種とされる9種と、沖縄のカンヒザクラは下記の桜です。また、これらから育成された園芸品種は、花色は白から濃紅色、花弁数は5から350を越えるものまで、花弁の大きさも小から大と多彩です。

■ヤマザクラ(山桜)
我が国の桜の中で最も代表的な種類で、古くから詩や歌に詠まれ親しまれてきました。主に本州中部以南に自生しており、別名シロヤマザクラとも呼ばれます。
■オオヤマザクラ(大山桜)
本州中部以北に自生するオオヤマザクラは、葉や花などの各部分は全体にヤマザクラより大柄です。花色がバラ色でヤマザクラより濃く、別名ベニヤマザクラ・エゾヤマザクラと呼ばれます。
■カスミザクラ(霞桜)
北海道、本州、四国に分布し、ヤマザクラに似ている桜です。別名ケヤマザクラは、花や葉の部位が有毛である場合が多いことからです。同じところでは、花期はヤマザクラよりずっと遅い桜です。
■オオシマザクラ(大島桜)
伊豆諸島と伊豆半島南部に自生する桜で、花は白色で若葉と良く調和し優雅な美しさがあります。葉は、塩漬けが桜餅を包む皮として利用されています。
■エドヒガン(江⼾彼岸)
本州・四国・九州と広く自生する桜で、花は早咲きです。この桜は長寿で各地に巨木・名木が点在しております。この桜の枝が下垂するものがシダレザクラです。
■チョウジザクラ(丁字桜)
東北地方の太平洋側の低山地、関東地方、中部地方の産地に多く分布します。花弁が小さくがく筒が太く長いその花の形から、「丁」の字を連想させるのでこの名があります。
■マメザクラ(豆桜)
富士・伊豆・房総を中心とする地方に自生する種類で、このため別名フジザクラ、ハコネザクラとも呼ばれています。名のように花は小さく、低木状の木にいっぱい花を咲かせます。
■タカネザクラ(⾼嶺桜)
北海道、本州中部以北の亜高山帯に分布する小高木の桜で、ミネザクラ(峰桜)の別名もあります。北海道にみられるチシマザクラはこの桜の仲間です。
■ミヤマザクラ(深山桜)
北海道に多く、南は九州まで見られるが、南下するにつれ亜高山帯に多くなります。開花期が遅い桜で、また花のつき⽅が他の桜とは違う総状花序です。
■カンヒザクラ(寒緋桜)
中国南部・台湾に分布するが、古くから琉球列島や⿅児島県に⼊り、石垣島や久米島などには野生化していると言われています。花は平開しない鐘形で、色は濃紅色で美しく、公園樹・街路樹などとして広く植栽されています。

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サクラの咲く時期

一般に桜は、春になると一度咲きますが、品種によっては十月桜や冬桜のように9月〜12月と2〜3月の2度にわたって咲く品種もあります。また、開花期もカンザクラ類のように早春に咲くものや晩春に咲くものとたいへん変化に富んでいます。南北に長いわが国では、1月下旬、南の沖縄を皮切りに北の北海道まで、約5ヶ月にわたり桜前線が日本列島を縦断します。桜前線は、全国各地で最も多く植えられている染井吉野の開花日を線で結ぶと天気図の前線の動きに似ていることから名付けられました。また、南北の緯度差だけでなく、標高差によっても遅速があり、標高が100m上がるごとに2〜3日遅れます。

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サクラの樹形

サクラには、ミネザクラ、チシマザクラのように、高さが2m前後の低木から、ヤマザクラ、オオシマザクラ、エドヒガンのように20m以上の高木になるものまであります。主な枝は斜上するが、枝の垂れるシダレザクラや枝が横に広がる染井吉野、普賢象、箒状となる天の川、泰山府君など樹形に特徴のあるものもあります。また、同一の種類でも育つ環境によって樹形は異なります。

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サクラの特性 -サクラを育てるために-

■日照を好みます
サクラは陽樹で日照を好むので常緑樹や建物の陰になるような場所への植栽は避けます。特に樹冠部に日が当たらないと花つきが良くありません。
■土壌の乾燥や過湿に弱い
サクラは生育上、肥沃で適度に湿った排⽔の良い壌土や砂質壌土が最も良く、砂礫地や低湿地を嫌います。植栽するところの土壌状態に⼗分気をつける必要があります。
■浅根性です
サクラの根は踏み固められたり、車の往来などにより土壌が固結すると呼吸作用が衰え、生育不良や根腐れなどの原因になります。
■剪定を嫌います
サクラは剪定に弱い。剪定部分からの萌芽力が弱いので、なるべく切らず自然樹形にします。しかし、病害枝やからみ枝など不必要な枝は細枝のうち早めに切り取る必要があります。
■潮害に弱い種類が多い
オオシマザクラのように比較的強い種類もありますが、多くのサクラは比較的潮害に弱い。
■連作を嫌います
サクラには「いや地」現象があり連作を嫌うので、前に桜を植えてあった場所にはできるだけ植えないようにします。やむなく植える場合は、土壌消毒や古い根をすっかり取り除き、新しい土壌を客土してから植えます。

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